真ちゃんとおは朝







秀徳高校、バスケ部は今日も練習に明け暮れていた。

部活も無事終わり、高尾はロッカーで緑間に声をかけられた。

「ん、何、真ちゃん?」

緑間の方に顔を向けると当の本人はロッカーからゴソゴソと何かを取り出している。

ロッカーから出てきたのはかなり大きいもの。

両手で抱えられるほど大きい。

「高尾、プレゼントなのだよ」

ひとことだけいって、緑間はその大きいものを高尾に手渡した。

大きいわりに軽い、高尾は受け取ってから知るのだが、嫌な予感がする。

受け取りながら、開けていい?と聞く。

緑間はあぁ。とうなずいた。

ガサガサと包装袋を外すと中から、クマさんのぬいぐるみがでてきた。

それも可愛い、手触りのいいふわふわ生地だった。

間違いなく女子であれば喜ぶなのだろうが。

「真ちゃん、これ?」

「今日のおは朝の高尾のラッキ―アイテムだ」

緑間はしれっと言った。

高尾はそんな緑間に相変わらずだ、と思いつつも別のプレゼントが欲しいな思った。

「真ちゃん、これ持って」

高尾は緑間にもらったクマのぬいぐるみを渡す。

「今日の俺のラッキーカラーは緑なんだよ、真ちゃん」

そういって、緑間にキスをした。

いきなりのことに緑間は赤く顔を染めながら、高尾から顔を離した。

「な、何をするのだ、高尾!!」

「え、だって俺たちそういう仲でしょ、それに真ちゃんが俺の傍にいれば
俺、今日は幸せになるんだよ」

そういいながら、高尾は緑間の肩を抱く。

緑間はめがねを直しながら、

「今日だけでいいのか?高尾」

そうつぶやいた。

「そんなわけないじゃん、真ちゃん」

笑みをこぼしながら、高尾はさらに唇を重ねる。

緑間はクマのぬいぐるみを抱きしめながら、それを受け止めていた。

「誕生日おめでとうなのだよ、高尾」

「ありがとう、真ちゃん」

誰もいないロッカーで二人はしばらく抱きしめあっていた




「ちなみに俺のラッキーアイテムはこれなのだよ」

緑間は足元を指差す。

足元には見たことがあるユニホームをきた犬がチョコンと座っている。

「真ちゃん…」

「知り合いの犬なのだよ」

「ワン」

そこには誠凛バスケ部所属、テツヤ2号の姿があった。





おしまい